カルロス・ゴーン氏 来校

三菱自動車への資本参加が話題になっておりますが、日産・ルノーの社長カルロス・ゴーンが今年3月末に来校しました。パネルディスカッション形式のイベントとして開催され、電気自動車や自動走行車といった自動車業界のイノベーションが今後のビジネスをどう変えるのかというテーマでした。

2015年時点において日産・ルノー社の電気自動車(リーフ)は業界販売台数1位です。しかし、累計販売台数自体は約20万台(*1)であり、世界的に普及しているとはまだ言えない状況です。

そもそも普及は進むのか、普及における課題は何なのか、社会にどのようなインパクトを与えるのか?ということについて非常に熱く語っており、経営のみならず社会や政治にまで観点を広げていたことが印象的でした。
以下、ゴーン氏のコメントを4点紹介します。


  1. 途上国の自動車ユーザーが急増し、二酸化炭素排出量の削減が世界中で強く求められていることから、長期的には電気自動車が主流商品になる。COP21を通じて各国が温室効果ガスの排出量削減を掲げていることもニーズを後押しするだろう。

  2. しかし、ガソリンスタンドのように電気充電スタンドを各地に普及していかなければ電気自動車を広めることはできない。先進国・途上国の政府に協力してほしいことは、とにかくインフラの整備。

  3. 途上国では交通インフラも整っておらず、渋滞問題が深刻。渋滞の解決のみならず渋滞時の運転手のストレスの軽減がニーズとして高まることから、それらを解決できる自動走行車を開発していきたい。
  4. 自動走行車の技術を上げるには、何千人もの優秀なソフトウェアエンジニアやデータサイエンティストの採用が必要になる。長期的には自動車業界における人材の取り合いになるだろう。先進国の優秀なエンジニアはシリコンバレーやTech業界に取られてしまう&人件費が高いため、インドや中国、ベトナムといった国々からエンジニアを大量採用していく必要がある。

上記の発言を通じて、ゴーン氏は気候変動への対策、官民協力の必要性、雇用の創出といった幅広い問題意識を持っていることが伺えました。

MSBではこのようなセミナーやパネルディスカッションが定期的に開かれるので、入学される方はぜひ参加をお勧めします。

イベントの様子


*1: ルノー・日産アライアンス ニュースリリース(2016年2月) http://www.nissan-global.com/JP/NEWS/2016/_STORY/160204-03-j.html

更新日:2016/5/18