経営戦略の講義について

本稿ではStrategy分野の講義の一つ(Frameworks, Methods & Contexts,通称FMC)についてご紹介します。


「化学メーカー会社が革新的な繊維素材を開発しました。経営コンサルタントである貴方は、この会社のCEOに何を提言しますか?」

アジア圏に拠点を置く船舶運輸会社が米国マーケットへの進出を考えているなか、競合他社が米国事業部の売却を検討している。この部門を買収すべきか?」

低所得者層を主要顧客として抱える家具レンタル会社が現地政府の規制リスクにさらされている。今後の成長ストーリーはどうあるべきか?」

Ken Homa教授が担当する当講義では、分析手法(フレームワーク)を学び、上記のような様々な業界の具体的な経営問題に取り組みます。
彼はMcKinsey CompanyGeneral Electronics等での勤務経験があり、丁寧かつスピーディに講義を進めていきます。


【問題解決能力とリーダーシップを鍛える】
学習内容としては、ある経営課題に対して主に①どういった切り口で分析すべきか、②どのような問題意識や仮説を持つべきか、③どのような成功ストーリーを描けるかについて学びます。
①と②に関しては、経営学でよく知られている分析手法(Portfolio Matrix、Five Forces、Issue Tree)のみならず、マクロ経済・業界・企業単位における分析手法を体系的に教わります。
Homa教授が既存のフレームワークを応用した手法もあります。例えば、マッキンゼーの「7S」分析やマーケティングに使われる「4P」分析などに、新たに2つ要素を加えた9S分析や6P分析なども学びます。
③に関しては、顧客に対して説得力のある提案やストーリーを作るための方法論やロジカルシンキングを学びます。経営コンサルタント流のプレゼン資料の作成方法についても解説があります。

宿題については、週ごとに1つの業界の企業に関する資料やデータが与えられ、その週の終わりまでにその企業の経営者向けの戦略提案書(パワーポイント資料10~15枚)を提出します。
この課題を4,5人のグループで取り組みます。これは、コンサルタントまたは経営層数人のチームでプロジェクトに取り組むことを体験させる意図があるとのことです。
チームメンバーが同じ経営課題に対してそれぞれ異なった仮説や前提をディスカッションに持ちかけていくなかで、共通の解決策に導くためにどのように議論すべきか常に考えさせられました。
この授業の成績評価の基準として、チームメンバーによる評価(Peer Evaluation)が含まれています。LeadershipやFacilitationといった様々な側面でチームに貢献することが求められます。

【実務経験者との交流】
学期の途中に、経営コンサルティング会社のマネージャー級の社員をゲストスピーカーとして招待し、彼らが実際に担当した企業事例を用いながら経営問題の解決方法や考え方を学びます。
今期では、Booz&Company(現在Strategy&)のPartnerを務めた社員が旅客機メーカーに対して提言した経営戦略について解説しました。
経営コンサルタントとして、どのような分析やコミュニケーションを通じて顧客に付加価値を与えているのか知ることができ、非常に有意義な講義でした。

他にも以下のようなビジネスケースを扱いました。
‐ ローカル・ラジオ局への新規参入戦略
‐ アミューズメントパーク事業会社の多角化戦略
‐ スープ缶市場における成長戦略

この講義で学んだことは、自分が所属していた部署や会社に対する課題を多角的かつ深く考え、今後それらをどのように取り組むか議論していく為の材料になると思います。

Ken Homa教授のプロフィール(大学のサイト)
同教授のブログ
今回は以上です。
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更新日:2016/3/1