Certificate in Nonmarket Strategy 続編 ~Strategy Beyond the Market~

こんにちは、Class of 2017のKです。

今回は、2015年に設置されたばかりながらMSBの看板プログラムになりつつある、Nonmarket Certificateの具体的な講義の内容についてご紹介したいと思います。
(Nonmarket Certificateの概要についてはこちらをご参考にしてください)


Certificateの指定科目の一つに、「Strategy Beyond the Market」というクラスがあります。1年目の後期、または2年目の前・後期のいずれかで履修することができます。

担当するProf. Andrea Hugillは、Georgetown Universityと並び米国トップの外交関係のスクールであるJohns Hopkinsで外交関係&エコノミクスの修士号を取得したのち、Harvard Business SchoolでInternational Business and Strategyの博士号を取得した、まさにこの道のプロ中のプロ。また、GEやWorld Bank でのコンサルタント経験もあるため、実務を踏まえた実践的なレクチャーを提供してくれました。

本科目は他学部の学生も参加する人気授業で、自分が参加した回のクラスは定員いっぱいの50人。それもそのはずで、米国では、Nonmarketの分野に対する民間企業の力の入れようが半端ではないので、学生の関心も自然と高まるのは頷けます。
あくまで一例ですが、企業の代表的なNonmarket戦略のアクションの一つのロビーイングに注目してみると、以下のように産業によっては年間で500億円以上の支出をしています。

Misc businessMiscellaneous businessの略。ここではmanufacturing, textiles, steel, chemicals, consumer retail goods, restaurants, beer wholesalers and funeral services


授業の中では、マーケットに影響を与える外部環境(公共政策、NOG/NPO等)をいかに分析し、どのように経営戦略を立案し実行するかを、レクチャーとケースディスカッションによって徹底的に学びます。
具体的には、政府・政治向けの戦略であるPublic Politics Strategyと、NGO/NPO等のActivist向けの戦略であるPrivate Politics Strategyがあり、企業が置かれたシチュエーションに応じてどのような戦略をとるべきかを議論します。

基本的なフローとしては、
 1.自社のビジネスに対し、どのような要素がマーケット外から影響を与えているか(または将来的に与えるか)を分析
 2.優先順位をつけ、ターゲット(政治家、政府機関、NGOなど)を設定
 3.想定される戦略オプションから適切なアプローチを選択
という流れです。

それぞれのステップにおいて、様々な分析フレームワークやケース事例が取り上げられます。日本企業の事例としては、TOYOTAの米国におけるリコール問題に関連した戦略、東芝子会社における米国規制違反に対応した際の戦略などが取り上げられました。

Nonmarket戦略を立案をする上で忘れてはいけないのは、全ての判断は企業のビジネス上の目標を中長期で最大化することを目的に下されるという点です。あくまで企業の経営戦略として、どのようなNonmarket戦略を実践すべきかを学びます。講義を通じて、企業のSustainableな成長のためには、ビジネス上の戦略だけでは不十分であり、適切なNonmarket戦略を描くことの重要性を痛感しました。


そんな充実した(激動の?)クラスを経験し、今月やっとFinal Report(3人チームで20ページ。チームで題材を議論し、BHP Billitonという世界トップの資源会社のNonmarket 戦略分析レポートにしました)を提出し、肩の荷を下ろしたところです。

コンサル会社出身の自分としては、日本でもNonmarket戦略を本格的なコンサルサービスとして展開することができるかもしれないと思うに十分のクオリティの講義でした。